ネット子の緊急アピール (2012年7月)
スマートフォンをお子様に持たせている保護者の方へ
スマートフォン(スマホ)はここ1〜2年の間に一気に普及しました。そのスマホ用の出会い系アプリケーション(アプリ)が、現在流行しています。 このアプリは気軽な出会いを作り出すソフトで、GPS(位置情報サービス)の情報をもとに近くにいる人と交流できますが、これを悪用した犯罪がすでに発生しています。
お子様のスマホへのインストールと利用には、非常に注意が必要です。 スマホは、携帯電話より利用範囲が広い、いわば「小さなパソコン」です。 安全に利用するためには、より一層のセキュリティ対策(スマホ用フィルタリングサービスやウイルス対策ソフトの利用)と利用にあたっての注意が必要となります。
まず、お子様のスマホに「何をインストールしているかを知ること」から始めてみません か? 「保護者」の「保護する義務」を果たすためには、子どもたちがインストールしているアプ リを知る権利があります。 そのアプリの機能や使い方が解らなくても話題にするしてみる、 子どもにその使い方などを説明させる、アプリの機能を一緒に考える、あわせて ネットでアプリの使われ方を検索して調べてみることを、ぜひお願いしたいと思います
Winnyを介したウイルス感染被害に関する緊急提言
私たち、ネット社会と子どもたち協議会は、現在のWinnyを介したウイルス感染被害に関し、ネット社会における子どもたちを守るのは大人の責任であるとの認識のもと、保護者、教育関係者、政府、民間企業、NPO等に対し、下記を緊急提言し、速やかな対応を強く希望するものです。
平成18年3月24日
ネット社会と子どもたち協議会
運営委員長 渡部陽子
記
1 未成年の子どもを持つ保護者に対し、家庭のパソコンでのWinny使用の有無を確認し、もしWinnyを使用しているならば直ちにWinnyを削除し、必要な対策を講じることを要請する。
2 全てのプロバイダに対し、Winnyによる通信を速やかに遮断することを要請する。
3 全ての官公庁、民間企業等に対し、職員、社員等のWinny使用の有無を確認し、もし使用していた場合には直ちに削除するよう指示することを要請する。
4 全ての官公庁、民間企業等に対し、Winnyを使用していた職員、社員等からは既に情報が漏洩していることを前提として、必要な対策を講じることを要請する。
5 無秩序なインターネットの負の側面が急激に拡大している事実にかんがみ、政府及び民間事業者に対し、必要な技術的・社会的制御の検討及び対策を加速することを要請する。
問題の背景と私たちの認識
Winnyというファイル交換ソフトを介したコンピュータウイルスが猛威を振っている。Winnyを通じてウイルスに感染・発病すると、パソコンに保存したファイル、メール履歴、デジタル写真や映像などの情報すべてがインターネット上に流出する可能性がある。
マスコミ報道では、事件性・話題性のある企業、病院、学校、警察、刑務所、自衛隊、テレビ局などからの機密情報や社会的影響度の高い個人情報の流出を大きく取り上げているが、これらは氷山の一角であり、大半の漏洩情報は表面に出ていないと考えられる。
子どもの問題はさらに深刻である。Winnyは無料で手軽に使えるため、保護者に内緒で家庭のパソコンに取り込み、音楽や映画、ゲームソフトのやり取りを楽しんでいる中高校生が多いと言われる(コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)と日本レコード協(RIAJ)が2005年1月に実施した調査によると利用率は10代が一番高い)。一説では、大人も子どもも含めて日本全体で100万人以上がWinnyを使用している。
Winny経由であれ何であれ、いったんインターネットに流出した情報は、二度と回収することができない。一度でも流出すると個々人のプライバシーや絶対秘密にしておきたかった情報、そして国家機密もインターネット上を永久に流れ、さらされ続ける。
ネット社会と子どもたち協議会ではこれまで、子どもたちに悪影響を与える問題に対策を立て、迷惑メール、悪意からの攻撃、有害コンテンツ、子どもたち同士の電子コミュニケーションから生じる問題などを重視して、啓発フォーラムの実施や小・中学校への「ネットの安心・安全」講話の実施、保護者や教職員などに役立つ情報ポータルサイトの構築等を行ってきた。
一方、コンピュータウイルスの感染により、個人情報の漏洩から発生する様々な事件やトラブル(架空請求、誹謗中傷、ネットストーカーなど)の危険性は、これまでも重大な問題として指摘されてきたが、今回のWinnyを介した著作権、肖像権の侵害や個人情報、機密情報の流出は、これまでは想像ができなかったほど大規模かつ深刻である。
私たちは、大災害や疫病の蔓延に比すべき事態が既に起こり、急激に拡大しているとの認識に立ち、被害拡大抑制のため全力で対策を進めるべきであると考えている。
事態の重大性にかんがみ、私たちは冒頭の5つの緊急対応を関係者に要請すると共に、コンピュータウイルス感染への予防及び伝染防止、個人情報の漏洩対策を、ネット社会と子どもたち協議会の重要課題と位置づけ、今後の活動の柱に加える。
10余年前、画期的な情報通信手段としてインターネットが登場し、圧倒的な利便性から爆発的に普及した。私たちが獲得したプラス面は大きく、インターネットがない状態は今では考えられない。しかし、インターネットが適正な管理のないまま、自然発生的に成長したために、その負の側面もまた急激に肥大化しているのが現状である。
当初は想像もできなかった犯罪や事故、トラブルがこれほどまでに顕著になった以上、インターネットの根本的な技術的・社会的制御について真剣に検討、対応すべき段階であると考え、政府、関係機関に対応を要請するものである。
最後に、保護者の方々に訴えます。
ネット社会は自己責任の世界です。自分で責任を取れない、社会経験の少ない児童・生徒が使うインターネットやパソコン、携帯電話は、「親が子どもに買い与えたものではなく、親が一時子どもに貸し与えているものである」という認識を親も子どもも、そして社会全体でも共有することが大事です。この認識があれば、親子の間でルールをつくり、それを守ることは当然であり、また子どもたちがネットの落とし穴に落ちないように「判断力」「自制力」「責任感」を身につけさせ、かつ見守る大人の責任も当然となります。
子どもが簡単に被害者にも加害者にもなってしまうネット社会の現実を直視し、早急に必要な行動をとってくださるようお願いします。
【本件連絡先】 渡部 090-1732-0568