報道に携わる皆さまへのお願い 


最近、当会への取材依頼が増えています。私たちがご協力できることを提供すること
については、やぶさかではありません。どうぞお気軽にお問い合わせください。
しかし、ひとつ困ったことだと認識していることがあります。


「ネットいじめ」を取り上げたいので、実際の被害者や加害者を知っていたら紹介して欲しい
というお申し出が多いことです。これについては 基本的にお断りしています。

そして、そういう皆さんの編集・報道方針には、「あなたも加害者となる可能性」について
考えられたことはありますか、と申し上げたいのです。


たしかに、「いじめを受けるとどんな気持ちになるか」を実例を交えて伝えるのは、
いじめをしてしまった側に「悪いことをした」と気づかせるきっかけになるかもしれません。
しかし、いじめを受けたことを自分の成長の糧にして忘れようと努力している子どもに対して、
「真実の報道」を御旗にその時の様子を詳しく聞くことはさらなる「いじめ」にならないのでしょうか? 
相手は子どもです。


現実社会が「ネット社会」になってしまった現在、取材方法や表現方法という報道のあり方自体にも、
今までにない配慮が必要だと考えています。しかし、報道の緊急性、重要性はましています。
よりよい報道のあり方について、ご一緒に考えていければ幸いです。


平成19年10月9日
ネット社会と子どもたち協議会
運営委員長  渡部陽子